7.19.2006

辞書のはしご

7月6日付けの記事に対するさとうさんのコメントについて。
 コメントの中で「説明する」を意味する語をたくさん挙げて下さいました。公開に先立って裏を取るためにうちの辞書を総動員すると面白いことになりました。今日はそれをもとに、うちにある辞書の特長について少し書いてみようかと思います。

・岩波の場合
 まず、このところ最もお世話になっている岩波。残念ながら今回は使えません。1077頁の「объяснить」の項に類語解説がありますが、撫でる程度にしか違いが記されていません。各々の語の項目を当たっても、この度は簡潔をもって鳴る説明が仇になっています。
 岩波の名誉のために言いますと、岩波の辞書は、力点も含めた語形変化を調べるのにとても便利です。この点では研究社などまるでお話にならないとさえ言えます。

・研究社の場合
 研究社の強みは、とにかく説明が多いこと:ええ、そりゃもう辞書見る気をなくさせるくらいに…。それだけに今回のような「え、どう違うん?」とからくりを解きほぐしてゆくような場合には力を発揮します。1275頁の「объяснить」の項に付属の類語の説明こそすっきりしてますが、各単語の定義は割としっかり書いてあります。

 岩波、研究社ともに、вбить, вдолбить の項目はあるものの、最初から голова の成語として引いた方がはるかに速いです。ところが和露辞典で(うちには研究社のと講談社のがあります)「叩き込む」を引くと、なぜか当たり前のように вбить, вдолбить が出て来ます。


ではロシア製の辞書はどうでしょう

・ジル*の場合
*ザルービン/ロジェツキィ『露和辞典』русский язык
 この辞書はロシア人の日本語使いを念頭に編んであるので類語解説などという日本人への配慮はかけらもありません。ただ、вбить, вдолбить のような口語も「頭に叩き込む」の意味で取り上げられており、いちいち голова まで飛ばなくても意味が分かるという、ロシア製ならではの?強みがあります。

・オジェゴフ#の場合
#Ожегов С. И. «словарь русского языка», русский язык

 ジルを補完するかたちで、вбить, вдолбить のみ参照。例文に в голову との結合が挙げられており、ロシア人にとっては馴染みの深いことばなのかもしれんなぁ、ということを伺わせてくれました。

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