4.30.2020

EU:支援の提供にあたり、ベラルーシに対してWHOの勧告の履行を要求

(1) 4月30日、ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、ベラルーシ当局が世界保健機関(WHO)と緊密に協力していると承知しており、さらに多くを行う必要があるとも承知している旨述べた。その上で同上級代表兼副委員長は、EUからベラルーシの医療システム強化のために拠出予定の6000万ユーロに関し、「我々EUは援助を行うと提案している。他方、感染対策に関するWHOの勧告を遵守するようにも求めている。一方で援助を提案しておきながら、他方で、EU各国で実施していて誰に対しても履行を求めている勧告を履行しないでいるというようなことはできない」と述べた。
(2) 4月8日から11日にかけ、WHOの調査団がベラルーシを訪問し、ソーシャルディスタンスの強化を中心とした全般的かつ複合的な戦略の導入を勧告した。特に、あらゆる大規模行事の中止、テレワークおよび遠隔での授業への移行、生活上欠かせない業種を除く組織・企業等の活動停止を求める内容。

https://news.tut.by/economics/682828.html

ベラルーシの軍事評論家:パレードは実施される

4月27日、儀仗隊による軍事パレードのリハーサルが中止された。29日の晩に予定されていたリハーサルも、直前で中止された。
これに関し、ベラルーシの軍事評論家アレクサンドル・アレシン氏は、ここ数日の感染拡大を踏まえ、パレード前に参加部隊が感染してしまわないよう、全体で集まって行うリハーサルを避けているだけである旨コメント。同評論家は、「パレードは必ずや行われる。…ルカシェンコ大統領は自分の立場に自信を持っており、自分は全てにおいて正しく行動していると信じて疑わない。同大統領にとってパレードの中止とは、国際社会が注目する中で権威を失うということなのである」と述べた。

https://belsat.eu/ru/news/net-repetitsii-ne-budet-i-parada/

露中、ベラルーシの軍事パレードに参加せず

4月30日、ガヴルシク国防省報道官は、現時点で5月9日に予定されている軍事パレードに関する変更はない旨述べた。また同報道官は、世界における疫学的状況に伴い、ロシア連邦と中国が、ミンスクでのパレードに自国の兵員を派遣しない決定をしたとも述べた。
https://news.tut.by/society/682794.html

4.24.2020

ベラルーシでCOVID-19対策チャリティ腕時計の発売開始

ミンスク時計工場「ルチ(Luch)」が、新しい腕時計を発売のモデルの売上は全てベラルーシ保健省によるCOVID-19対策基金に寄付される。 
この腕時計の文字盤には、ベラルーシ語で「わたしからCOVID-19対策に当たるお医者さまへのサポート」という意味の刻印が施されており、裏面には17の言語で医療関係者に対する感謝の言葉が記されている。価格は69ベラルーシ・ルーブル(約3000円)。
Watch to support fight against COVID-19
23 April, "Minsk Watch Plant "Luch"" has launched new series of watch to support doctors who cope with COVID-19. It cost BYN 69 (about USD 28 ). All of benefit from selling this model is going to be donate to the charity fund of the country's Ministry of Health. On the clock-face, there is the engrave "My support for doctors, coping with COVID-19" in Belarusian. On the back, there are word of thanks in 17 language. 
(4月23日付ベラルーシ国営ベルタ通信、ニュースサイトTUT.BY
https://news.tut.by/society/682037.html
https://www.belta.by/society/view/vremja-pomogat-vyruchka-ot-novoj-serii-chasov-luch-pojdet-v-pomosch-belorusskim-medikam-388322-2020

4.23.2020

ロシア連邦における非常事態(ЧС)と厳戒体制(ЧП)の違い

平野高志さんからいただいていた宿題。まずはロシアから。

●対応するレベル
平時

警戒(повышенной готовность)

非常事態(чрезвычайная ситуация)

厳戒体制(чрезвычайное положение)

●警戒および非常事態(ЧС)の場合
当局は以下の措置を講じることができる。
- 非常事態(ЧС)発生地域への一般市民および交通機関の立入を禁止する
- 非常事態(ЧС)発生地域に所在する組織の活動が、その成員やその他の一般市民の安全な生活にとって脅威となる場合、当該組織の活動を停止させる
- その他の処置を、市民の権利や自由を制限しない範囲で講じる
- 非常事態(ЧС)の影響を最小化して終息させるため、必要な措置を講ずる
(詳細は2020年4月3日付連邦政府閣僚会議決定を参照)

●厳戒体制(ЧП)の場合
当局は、市民の権利や自由の制限を含むより強力な措置を講ずることができる。
例えば、国民の安全な場所への一時的な疎開や労働力の動員、公民の別なく組織の責任者の解任等を合法的に行うことができる。

非常事態(ЧС)への移行は連邦政府が、厳戒体制(ЧП)への移行は大統領が行う。
※2020年3月31日まで、警戒および非常事態(ЧС)への移行は地方自治体が行っていた。

●関連法規
- ロシア連邦憲法第56条および同第81条
- 1994年12月21日付連邦法第68-FZ号「自然災害および人災による非常事態からの一般市民と領土の防護について」(Федеральный закон от 21.12.1994 № 68-ФЗ «О защите населения и территорий от чрезвычайных ситуаций природного и техногенного характера» (в ред. от 03.07.2019))
- 2001年5月30日付憲法的連邦法第3-FKZ号「厳戒体制について」(«О чрезвычайном положении»
Федеральный конституционный закон , от 30.05.2001 г. № 3-ФКЗ)

●ロシア連邦憲法の抜粋
Статья 56
1. В условиях чрезвычайного положения для обеспечения безопасности граждан и защиты конституционного строя в соответствии с федеральным конституционным законом могут устанавливаться отдельные ограничения прав и свобод с указанием пределов и срока их действия.
2. Чрезвычайное положение на всей территории Российской Федерации и в ее отдельных местностях может вводиться при наличии обстоятельств и в порядке,3 установленных федеральным конституционным законом.
3. Не подлежат ограничению права и свободы, предусмотренные статьями 20, 21, 23 (часть 1), 24, 28, 34 (часть 1), 40 (часть 1), 46 - 54 Конституции Российской Федерации.
第56条
第1項 厳戒体制の状況下においては、国民の安全を確保し、立憲体制を保護するため、憲法的連邦法に従って、権利や自由の一部制限が制定されることがあり得る。(その場合、制限の)効力の範囲と期限は指定される。
第2項 ロシア連邦全土およびその一部地域における厳戒体制は、しかるべき状況がある場合、憲法的連邦法の定める手順により発令される。
第3項 ロシア連邦憲法第20条、第21条、第23条第1項、第24条、第28条、第34条第1項、第40条第1項、第46条から54条に定められている権利および自由は、本制限の対象とはならない。

Статья 88
Президент Российской Федерации при обстоятельствах и в порядке, предусмотренных федеральным конституционным законом, вводит на территории Российской Федерации или в отдельных ее местностях чрезвычайное положение с незамедлительным сообщением об этом Совету Федерации и Государственной Думе.
第88条
ロシア連邦大統領は状況により、憲法的連邦法の定める手順により、ロシア連邦の全土ないしその一部地域において厳戒体制を発令する。(その場合、大統領は)連邦院および国家院にその旨を遅滞なく通報する。

●参考リンク
https://tass.ru/info/8157289
https://www.interfax.ru/chto-takoe-chs-chp-samoizolyacziya-i-karantin.html
https://www.mchs.gov.ru/dokumenty/794

日本でベラルーシの亜麻(リネン)製品が買えます!

3月18日、東京都三鷹市の「リネンのお店 かどや」でオープニングセレモニーが開催され、イエシン駐日ベラルーシ大使も出席。
お店の運営母体である株式会社エヌ・ビー・アールは、ベラルーシの繊維メーカー「オルシャ亜麻製品コンビナート(Orsha Linen Mill)」の亜麻製品等を輸入しており、2019年12月からは石川県で、ベラルーシの亜麻布からマスクを製作している。古澤社長は、「ベラルーシのリネンは肌触りが良く、毎日使うのに最適。繊維自体に抗菌性があり、他の素材よりも衛生的。洗濯にも強く、繰り返し使うのに向いている」と語る。同社長は、日本でもCOVID-19の感染拡大を受けて自宅で過ごす人やマスクを自作する人が増えているとした上で、「ベラルーシの亜麻布は天然素材なので、敏感肌の人が着用するのにぴったりだ」とも述べた。
ベラルーシの亜麻布を使ったテーブルウェアや衣類も人気が高い。同社は様々な店への卸の他、アマゾンや楽天市場でも亜麻製品を販売している。

4月23日付ベラルーシ国営ベルタ通信
https://eng.belta.by/society/view/japan-makes-face-masks-from-belarusian-linen-130011-2020/

Cadeau屋 リネンのお店 かどや
https://www.cadeauya.jp/
https://www.facebook.com/cadeauya/

株式会社エヌ・ビー・アール
https://www.nbr.jp/

オルシャ亜麻製品コンビナート(Orsha Linen Mill)
https://linenmill.by/en/

4.22.2020

新型コロナウイルス人工説否定に関する記事:「軍事研究」2020年5月号

1 「軍事研究」誌上でのウイルス人工説の否定記事
(1) 「軍事研究」2020年5月号の巻頭に、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が「ウイルス感染より恐い「中国陰謀論」の拡散」と題する記事を寄稿されています。
(2) このほど、友人と話していてこの(黒井氏の)記事の話題になり、要約する機会を得られました(めちゃめちゃ端折ってます)。

1 黒井氏の記事の流れ
(1) コロナウイルスは生物兵器として使い勝手が悪い(黒井氏は村上和巳氏とともに「生物兵器テロ」宝島社新書、2012年を執筆)。「米国疾病管理センター(CDC)」の生物兵器使用危険度リストに、コロナウイルスは入っていない。
(2) 1月23日付の英「デイリーメール」で本件が扱われたが、武漢病毒研究所からの流出を可能性の一つとして示しているのみだった。1月24日以降、米「ワシントン・タイムズ」が本件に関する記事を複数発表するも、そのいずれにおいても「とくに根拠となる具体的な情報はない」旨明記。1月29日付で米「ワシントン・ポスト」および「フォーリン・ポリシー」が本件を否定する内容の記事を発表。
(3) 1月31日、デリー大学およびインド理工学院の研究グループが人工ウイルス説の論文を公開。しかし、発表した場所(bioRxiv)がそもそも査読前のものを投稿する場であったこと、内外の研究者におる検証を経て疑義が噴出したことから、この論文は公開から2日で撤回された(後述)。
(4) このような議論に、亡命中国人や法輪功系のサイトなどの反中プロパガンダが乗じようとしたものの、検証サイト「ファクトチェックORG」や科学分野での検証機構「サイエンス・フィードバック」などで反論がなされてきた。2月19日、医学誌「ランセット」に、高名なウイルス研究者や公衆衛生専門家27人が共同声明を発出。同声明では、中国の研究者は医療担当者を支援することが宣言されるとともに、新型コロナウイルスは自然由来であることが明言されている。

2 インドから論文が出て、2日で取り下げられた顛末
(1) 撤回された論文の要旨
ア 新型コロナウイルスには、SARSウイルスにない4つの新しい遺伝子配列が挿入されている
イ その配列はHIV(エイズウイルス)と共通する
ウ こうした配列は、自然に起こる現象とは考えにくい
(2) 反証
ア これらの配列は極めて短く、HIVに限らず、多くの種類に見られる
イ 他の最も近いコロナウイルスからも1000以上もの大量の断片的な遺伝物質の変異があり、そのような操作は人工的に不可能
ウ 遺伝子改変に使用する酵素の痕跡がない(→遺伝子操作の痕跡がない)

検証:ノーベル賞受賞の仏ウイルス学者「コロナは武漢研究所の人工操作」発言をどうみるべきか(4月22日ヤフーニュース)
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200422-00174202/?fbclid=IwAR0Mj0v8c9XO7xyQmuP-aOTmomLMXwLOEPl8jBBTgpfLTVsS9OiGoamTAxk

インドから出た研究
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.01.30.927871v1.full.pdf?fbclid=IwAR2PMfSOltUtYT9zQrNmZBl33UFRd-NOWSCwCLK2av-k_51qRqilcg_2lwk
(小山雅徳さん提供)

4.21.2020

リンク集:Su-30SM戦闘機調達を巡るベラルーシ・ロシアの動き

●Su-30SM12機を6億ドルで調達(2019年11月13日付ニュースサイトTUT.BY
https://42.tut.by/661051
●ルカシェンコ大統領:ベラルーシは自己資金でSu-30SM戦闘機を調達(2019年11月14日付ベラルーシ国営ベルタ通信
https://www.belta.by/president/view/belorusy-ne-nahlebniki-lukashenko-obsudil-s-zasem-i-lappo-sotrudnichestvo-s-rossiej-na-obschej-granitse-369047-2019/
●ザシ国家書記:ロシアから露軍基地と引き換えにSu-30SM供与の提案あるも、ベラルーシは自らの能力に頼ることにした(2019年11月14日付ベラルーシ国営ベルタ通信)
https://www.belta.by/society/view/zas-priobretenie-istrebitelej-su-30sm-polozhilo-nachalo-poetapnomu-perevooruzheniju-vvs-belarusi-369026-2019/
●露関係者:ベラルーシはひも付きではない供与済み融資でSu-30SMを調達(2019年11月14日付露ヴェドモスチ紙)
https://www.vedomosti.ru/politics/articles/2019/11/14/816316-lukashenko

ベラルーシ発祥のIT企業、防護マスク70万枚を寄付

4月20日、IT企業EPAM SystemsとWar Gamingミンスク開発センター(Game Stream)は、ベラルーシ保健省にEEP2保護マスク70万枚を寄付。
(4月20日付ベラルーシ国営ベルタ通信)
https://eng.belta.by/society/view/epam-wargaming-donate-700000-respirators-to-belarus-healthcare-ministry-129915-2020/

両社はともにベラルーシ発祥のIT企業。
EPAM Systemsは、1993年の創業から業績を伸ばし、現在は従業員1万人以上を抱える大企業に成長。2012年にはニューヨーク取引所に上場。
Game Streamはゲーム開発企業War Gamingとともに、World of Tanksをプロモーション:このゲームは世界で1億人以上がプレイ。

【参考:EPAM Systems】
(1) EPAM Systems公式サイト
https://www.epam.com/about/who-we-are/history
(2) ベラルーシ・ハイテクパーク(情報通信技術・スタートアップ特区)による登録企業紹介~EPAM Systems
http://park.by/it/enterprise-25/type-full/?lng=en
(3) テクノロジー業界の成長を目指す東欧・ベラルーシ、そのスタートアップシーンは今(2017年2月27日付リクルート)
https://www.recruit.co.jp/meet_recruit/2017/02/gl23.html

【参考:Game Stream】
(1) Game Stream 公式サイト
https://game-stream.by/
(2) ベラルーシ・ハイテクパーク(情報通信技術・スタートアップ特区)による登録企業紹介~Game Stream
(3) ベラルーシ共和国公式サイトによるWorld of Tanksの紹介
https://www.belarus.by/en/business/case-studies/world-of-tanks

4.20.2020

ベラルーシ国防省、パレード中止を求める請願を却下

(4月20日付ニュースサイトTUT.BY)
(1)ベラルーシ国防省は4月16日付で、5月9日の軍事パレードおよびその予行演習の中止を求める3月31日付の請願を却下する旨の公式回答を発出:署名はフレニン国防大臣。
(2) 同回答によれば、「ベラルーシ共和国における現下の疫学的状況において、軍は戦闘準備にかかる行事を計画どおり実施できる」。パレードの準備と実施は軍事訓練の一環である。今日、軍内部で講じられている措置は、「軍内部の疫学的状況を相応の水準の維持とともに、ウイルス感染対策に対する国家の潜在力向上を含むあらゆる任務に対する軍の能力と準備体制を担保」している。また、パレード実施のための特別な資金は支出されておらず、必要経費は国防省に割り振られた予算の範囲内で拠出される。
(3) 5月9日の軍事パレードおよびその予行演習の中止を求める請願は、早くも3月29日にはサイト「便利な街」に現れており、国防省への請願には7000人以上が署名していた。

https://news.tut.by/society/681454.html?utm_source=facebook&utm_campaign=share&utm_medium=social&utm_content=smart

4.18.2020

人のいないミンスク

ベラルーシでは都市封鎖や移動制限はありません:保健省が強めの勧告は出してますが。それでも、ミンスクから人通りがほぼ消えているという記事です。まるで絵葉書…
There is no quarantine in Belarus (Ministry of Health issued thorough and strict recommendation). However, now practically no one walk on the street in the capital, Minsk city...

https://kaktutzhit.by/posts/karantin-minsk

ベラルーシの婦人肌着メーカーがマスクの生産を開始


コロナつながり、でも明るい話題を。
(1)ベラルーシの誇る婦人肌着メーカー「ミラヴィツァ( Milavitsa )」が、マスクを生産するようになりました!こんなん、ブ●ジャーのカップやんか!という話は世間一般はもとより、社内でもありますよ、とミハイル・ユシチェンコ社長も笑っています。社長ご自身は、ワインレッドのマスクを使ってらっしゃるそうです。
(2)同社は、「当社のマスクは医療用ではなく、あくまで保護具でしかないよ!」と念押ししているものの、色んな用途を想定して5種類出しているそうです。生産能力は、注文内容によって日産2万~4万枚:モデルによって使う機械が変わってくるため。
日本でも、似たような話はあるようですね。
●ブラジャー屋の本気マスクが「ブラジャー過ぎる!」と話題…社会貢献に取り組む下着メーカーに聞いた
https://maidonanews.jp/article/13271414
●ミラヴィツァ:当社のマスクを医療用と間違えないで
https://belsat.eu/ru/news/milavitsa-prosit-ne-putat-svoi-zashhitnye-maski-s-meditsinskimi/
●ミラヴィツァ社長:ワインレッドがお気に入り
https://minsknews.by/ya-i-sam-noshu-eti-maski-mne-nravyatsya-bordovye-direktor-milaviczy/