4.22.2020

新型コロナウイルス人工説否定に関する記事:「軍事研究」2020年5月号

1 「軍事研究」誌上でのウイルス人工説の否定記事
(1) 「軍事研究」2020年5月号の巻頭に、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が「ウイルス感染より恐い「中国陰謀論」の拡散」と題する記事を寄稿されています。
(2) このほど、友人と話していてこの(黒井氏の)記事の話題になり、要約する機会を得られました(めちゃめちゃ端折ってます)。

1 黒井氏の記事の流れ
(1) コロナウイルスは生物兵器として使い勝手が悪い(黒井氏は村上和巳氏とともに「生物兵器テロ」宝島社新書、2012年を執筆)。「米国疾病管理センター(CDC)」の生物兵器使用危険度リストに、コロナウイルスは入っていない。
(2) 1月23日付の英「デイリーメール」で本件が扱われたが、武漢病毒研究所からの流出を可能性の一つとして示しているのみだった。1月24日以降、米「ワシントン・タイムズ」が本件に関する記事を複数発表するも、そのいずれにおいても「とくに根拠となる具体的な情報はない」旨明記。1月29日付で米「ワシントン・ポスト」および「フォーリン・ポリシー」が本件を否定する内容の記事を発表。
(3) 1月31日、デリー大学およびインド理工学院の研究グループが人工ウイルス説の論文を公開。しかし、発表した場所(bioRxiv)がそもそも査読前のものを投稿する場であったこと、内外の研究者におる検証を経て疑義が噴出したことから、この論文は公開から2日で撤回された(後述)。
(4) このような議論に、亡命中国人や法輪功系のサイトなどの反中プロパガンダが乗じようとしたものの、検証サイト「ファクトチェックORG」や科学分野での検証機構「サイエンス・フィードバック」などで反論がなされてきた。2月19日、医学誌「ランセット」に、高名なウイルス研究者や公衆衛生専門家27人が共同声明を発出。同声明では、中国の研究者は医療担当者を支援することが宣言されるとともに、新型コロナウイルスは自然由来であることが明言されている。

2 インドから論文が出て、2日で取り下げられた顛末
(1) 撤回された論文の要旨
ア 新型コロナウイルスには、SARSウイルスにない4つの新しい遺伝子配列が挿入されている
イ その配列はHIV(エイズウイルス)と共通する
ウ こうした配列は、自然に起こる現象とは考えにくい
(2) 反証
ア これらの配列は極めて短く、HIVに限らず、多くの種類に見られる
イ 他の最も近いコロナウイルスからも1000以上もの大量の断片的な遺伝物質の変異があり、そのような操作は人工的に不可能
ウ 遺伝子改変に使用する酵素の痕跡がない(→遺伝子操作の痕跡がない)

検証:ノーベル賞受賞の仏ウイルス学者「コロナは武漢研究所の人工操作」発言をどうみるべきか(4月22日ヤフーニュース)
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200422-00174202/?fbclid=IwAR0Mj0v8c9XO7xyQmuP-aOTmomLMXwLOEPl8jBBTgpfLTVsS9OiGoamTAxk

インドから出た研究
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.01.30.927871v1.full.pdf?fbclid=IwAR2PMfSOltUtYT9zQrNmZBl33UFRd-NOWSCwCLK2av-k_51qRqilcg_2lwk
(小山雅徳さん提供)

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